2007年04月19日

東京都知事選・20

(おまけ) 2007年東京都知事選の最良の瞬間を、備忘のために記録しておく。
≪浅野史郎・新宿東口最終演説/13分≫
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東京都知事選・19

ayaya.jpg これまであえて書くのを自粛してきたことを、最後なので書くことにしたい。それは、私は黒川紀章のデタラメさが実は大好きだ、ということである。自らクルーザーを操縦して隅田川を溯上したり、ヘリコプターで伊豆諸島まで飛んでみたり、ガラス張り選挙カーで石原慎太郎の選挙演説に乱入し、「銀座の恋の物語」を大声で歌って妨害するとか、その選挙活動のすべてが好きだった。開票速報を見てガックリと落ち込んでいるところとか(本気で当選すると思っていたらしい)、その一挙手一投足からつねに目が離せなかったし、最初から最後まですべてが謎であり、バカバカしく、それでいてクールだった。

 実際、都知事選はパフォーマンス選挙である。有権者が1000万人もいるような巨大選挙区では、もはや街頭演説など何の意味ももたない。そこでは、いかに自らのイメージをうまくマスコミに載せるかということだけが問われており、それに石原は成功し、浅野は失敗した、というだけのことだ。浅野のマラソン姿を見て、落選を確信したのは私だけではあるまい。プレスリーを歌うのは悪くなかったが、いかんせん小泉の二番煎じであったのは最悪だった。

 ところで、黒川紀章がはじめて出馬を表明したとき、彼が石原の古くからの友人であること、日本会議のメンバーであることから、とんでもない保守反動の候補である、などと言われた。しかし私は、ある理由から、ずっと昔から彼の言動には人並みはずれた注意を払ってきたのだが、この男がかつて何か政治的な発言をするのを聞いたことがない。だから今回の出馬は、単純に(オリンピック受注をめぐる)私怨に端を発したものであると私は考えている。

 さて、ある理由――もうすでにお気づきかもしれないが――それは、彼が他ならぬ「若尾文子の夫」である、ということである。若尾文子。ああ、ここにこうしてその名を記すだけでも、はげしく胸がふるえ、熱くこみあげてくるものを抑えることができない。――私の青春のすべて。生きることのパッション、情熱と受苦をあますところなく教えてくれた不世出の女優、若尾文子!

 古い話だが、黒川紀章が「きみはバロックだ」というセリフで若尾文子を口説いたという話は、ある年代以上の人間なら誰もが知っている。しかしこの言葉は、私にとって長い年月のあいだ、大きな謎であった。若尾文子のどこがバロックなのか?――確かに、「刺青」や「清作の妻」や「赤い天使」における若尾文子の激情は、例えばローマにあるベルニーニの「聖テレジアの法悦」などを連想させなくもない。しかし今回、ブラウン管で見かけた若尾文子は、あたかもボッティチェッリの描く聖母のように、ただやさしく静かに微笑んでいるのだった。私にとって2007年の都知事選は、駄作「春の雪」に出演して以来、ひさびさに若尾文子が人々の前に姿を現した、というこの奇蹟のような一瞬によって長く記憶されることになるだろう。(了)
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2007年04月11日

東京都知事選・18

ishihara_shintaro.jpg 当選後、さっそく傲慢モード全開に戻った石原慎太郎が、「神戸の地震で(自衛隊に派遣要請する)首長の判断が遅れて2000人が死んだ」と発言した。これに対して兵庫県知事らが猛反発し、「全く根拠のない発言」などと抗議している。

 だが考えてみれば、ベルクソン発言にしても、ババア発言にしても、かつて石原の発言に何か根拠があったことなど、一度だってない。はっきり言って、すべてが捏造である。しかしそれでも、「2000人が」とか、「ベルクソンが」とか、「何々教授が」とかヌケヌケと言われると、一瞬、根拠があるのかと誰もが思ってしまう。稀代のペテン師たるゆえんである。

 石原はまた同時に、「情報公開は難しい」「職員のプライバシーにも関わってくる」などとふざけた発言をし、警察の捜査報償費の公開についても、「おかげで警察の捜査は非常に難航するようになった」「この種の情報開示は間違ってるし、するつもりはない」と述べた。報償費が、現場の捜査に全く使われずに、巨大な裏金となっていることは多くの証言からも明らかであるのに、このようなデタラメを信じている都民は数多くいる。

 ともあれ、石原の悪政について、まだまだ書き残したことは多い。しかしもう紙幅がなくなってきたので、書こうと思っていた項目のメモだけを備忘のために記しておく。(次回完結)

・トーキョーワンダーサイト事業と「能オペラ」
・ヘブンアーティスト制度(大道芸人のライセンス化)
・文化予算の削減(東京都交響楽団問題→楽団員の有期雇用化、評価制度の導入)
・新宿2丁目への弾圧、(刑法の前田雅英による)エロ漫画規制
・知事交際費と豪遊(ガラパゴス旅行)
・民主党都連の(石原側近)極右偏向都議
・危険きわまりない「三宅島オートレース」
・「築地」移転問題
・「お台場カジノ構想」はどこへ?
・外型標準課税の失敗と「新銀行東京」の累積赤字
・オリンピックとファシズム
・藤原紀香と中村勘三郎が石原を支持した件
・焼酎「森伊蔵」
・『太陽の季節』を読む
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2007年04月10日

東京都知事選・17

asano_shiro.jpg 「浅野史郎」と「佐野史郎」は似ているなどと世上よく言われるが、この名前を聞いて、映画マニアがすぐに連想するのは「浅野四郎」のことである。浅野四郎は、1899年に日本で初めて映画(「芸者の手踊り」なる短編ドキュメンタリー)を撮った人物として、映画史上に記憶されている。他にも「化け地蔵」「死人の蘇生」などといった、題名を聞いただけでもワクワクするような映画を撮っていたらしいが、すべて残念ながら私は見たことがない(というか現存しない)。

 それはさておき、浅野史郎である。私のまわりは基本的に反石原の人間ばかりなので、「(東京では)どうして石原があれほど支持されるのか?」という疑問の声がひじょうに多かった(今日までに10人以上に訊かれた)。「石原を倒せるのは田中康夫だけ」と個人的にはずっと思い続けてきたが、現在言われているように、対抗馬としての浅野史郎にそれほど魅力がなかったとは私は思わない。やはり今回は、選挙戦術のマズさが決定的だった、と思う。

 石原慎太郎の人気を支えているのは、まず何よりも「決断力」「行動力」「国に対してはっきり物を言う」などのイメージであり、これは要するに、かつての“小泉人気”と全く同質のものである。それに対して浅野は、民主党との関係が不透明だったこと、「オリンピック」「築地」に対して曖昧な態度を示したこと等々によって、「優柔不断な浅野」というイメージが完全にできあがってしまった。「立ち止まって考える」という姿勢が完全に裏目に出てしまった。ワンフレーズ・ポリティクスが流行りの当節では、「分かりやすさ」こそが至上の価値とされるのだろう。

 ともあれ教訓として、「分かりやすさ」は選挙戦術として極めて重要。しかし同時にまた、ここには危険も含まれている。それによって切り捨てられてしまうものも、たくさんあるからだ。「うるさい、黙ってろ!当たり前の手順を踏んで、民主的にやるんだよ!物事は多数決なんだから!」と石原は言う。このような発言に激しく違和感を覚えるのは、そこに「対話」と「合意形成のプロセス」が全く存在しないからである。そのような態度を、断じて「民主的」とは言わない。(続く)
posted by unagi at 12:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 都知事選 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月08日

東京都知事選・16

simokita.jpg というわけで、ついに投票日である。開票結果を見るまでもなく、石原慎太郎が圧勝することであろう。

 浅野陣営による選挙戦術のあまりの拙劣さ(土壇場になって急に民主党が前面に出るとか、バッシング対策とか)に、こちらも何となくやる気がなくなって、この一週間ほどはブログが更新できなかった(すみません)。

 あとは4年後を待つか、任期中に死ぬのを待つしかない。とりあえず、石原が死んだら赤飯を炊いて祝うことにしたい。

 前回書いた、あの下北沢の街並みも、遠からず解体されるかもしれない。先日、シモキタを遊説で訪れた石原慎太郎が、はげしい「石原帰れ!」コールについにブチ切れて、「うるさい、黙ってろ!当たり前の手順を踏んで、民主的にやるんだよ!物事は多数決なんだから!」と怒鳴りまくったそうだから。同じように、新宿2丁目のゲイタウンにも、これから厳しい弾圧が待ち構えている。

 とりあえず、ここからまた新たな反石原闘争が始まるわけだ。(続く)
posted by unagi at 12:41| Comment(9) | TrackBack(0) | 都知事選 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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