2007年03月10日

東京都知事選・3

 石原慎太郎の都立高校改革が推進している「特色ある学校づくり」は、結局はありもしない特色を捏造し、かえって各学校を均質化に陥れている。例えば、先述した斎藤貴男氏の母校である北園高校は「IT推進」を、私の出身である両国高校は「国語力の育成」(OBに芥川龍之介がいるからか?)を特色としているらしい。しかし建前上はともかく、現実に目指されているのは進学実績の向上ただそれだけであって、都教委による徹底した締め付けと管理強化によって、かつて存在したリベラルな都立高校文化はほぼ息の根を止められてしまった。

 例えば、かつての日比谷高校を舞台とした庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』という小説がある。そこでは、生徒は自分の担任を選ぶことができたし(新学期のクラス替えの際には、校庭で旗を持って立っている教師たちの中から好きな先生を選んでその前に並ぶ)、今ではおそらく私立の麻布高校あたりに残っているであろうような、自由な都立高校の雰囲気がよく描かれている。私の時代でも、こうしたリベラリズムの残り香のようなものはあって、その多くは勤続何十年という風変わりな名物教師たちの存在によって支えられているのだった。

 しかし、私の出身高校は昨年、都立初の中高一貫校のひとつとなった(同時に「作る会」の歴史教科書が採択された)。石原慎太郎は、一連の改革によって都立高校の復権が始まるのだと言う。しかし、かつて中学受験業界にいた私に言わせれば、入試を行わない現在の制度では(「適性検査」の問題を見る限り)、今後も進学実績はさほど向上しないであろう。少なくとも「作る会」の教科書を採用しているような学校に、まともな親が子供を通わせるわけがない。親の所得格差による教育の機会不均等はむしろ拡大するだろう。

 さらに、これはあまり知られていないが、都立高校では今年の4月から一律に奉仕活動が必修化される。安倍晋三の「美しい国づくり」政策において掲げられた「ボランティアの義務化」(!)は、すでに都立高校の現場において、こっそりと現実のものとなっているのだ。これは実に驚くべきことである。(続く)
posted by unagi at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 都知事選 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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